院長就任までの軌跡と想い
動物虐待を目の当たりにし医師になることを決意
私が子供の頃、岡部獣医科病院は自宅のすぐ近くだったため動物病院は身近な存在でした。もともと獣医師になる気はなかったのですが、高校生の時に動物虐待のニュースが目立っていて「自分ができることは何か」と考えたときに身近だった獣医師になるという想いが芽生えました。
そして獣医学部のある大学に行くことを決め、勉強は毎日8時間。とにかく大学に合格したいという一心だったので、まったく苦ではありませんでした。進学した大学は牧場を保有していたので、直接多くの動物に触れながら学ぶことができたのは良い経験です。
大学卒業後は臨床研修医として2年間、東京大学動物医療センターに勤めましたが、最初は右も左もわからない状態でドキドキしながら仕事をしていたことを覚えています。その後、研修期間を経て山口獣医科病院で働くようになり、実際に手術を経験することになります。怖いという気持ちもありましたが、患者さんが次々に来院する病院だったので、経験を積むうちに恐怖も和らいでいきました。
臨床研修医としての仕事に慣れたころ、父親から「引退するから院長になってくれ」と声を掛けられ、岡部獣医科病院に院長として就任することになりました。
軌道に乗るまで
経営者として数字と向き合うことで軌道に乗せることに成功
院長という立場になりましたが、経営のことはまったく意識していませんでした。しかし、社員の入れ替えが頻繁に起きたり、給料のことを考えるようになり、もっと経営者として数字を見ないといけないと感じるようになりました。
それから、地元に帰ってきてすぐに友人に誘われて柏商工会議所に入会したことも大きいと思います。たくさんの経営者の方とお会いし、学ぶことにより経営者としての自覚が少しずつ芽生えました。社員に対してもそれまでよりコミュニケーションをとるようにして、一人ひとり気にかけるように意識し、職場の雰囲気にも気を配るようにしました。
また、当院の認知、集客の面では今までセミナーに参加するなど自分でも勉強していたので自信はありましたが、なかなか望むような結果が出ず苦戦していました。しかし、ホームページのリニューアルをきっかけに岡部獣医科病院のことを認知していただき、軌道に乗せることができました。
動物病院としての価値
動物の専門家である自分たちだからこそできる保護活動
ありがたいことに、口コミやホームページからたくさんの患者さんにお越しいただけるようになりました。すべてのお客様に満足していただけるサービスを提供するために、人材の確保だったり育成もやっていかなければいけませんが、岡部獣医科病院として他社の病院と違うところは犬や猫の保護活動をしているという点です。動物病院はたくさんありますが、保護活動をしている動物病院はすごく少ない。保護猫活動は獣医にしかできず、受け入れるとすごく喜んでくれる人がたくさんいらっしゃいます。
保護猫活動をしている理由としてもう一つあり、私が小さい頃、山であそんでいると捨て猫がたくさんいました。それを見てすごくかわいそうだと思っても何もできず 、悔しい気持ちがありました。家が動物病院のため、持って帰って治療をお願いすることはできます。しかし、それが自分で完全に消化しきれなくて自分でどうにかしてあげたいという想いがありました。 自己満足なのかもしれませんが、目の前で倒れている猫をどうにかしたいという想いがずっとあり、保護猫活動を積極的に行っています。
職場環境へのこだわり
サービスの導入で働き方の改善とスタッフの知識の底上げ
岡部獣医科病院の軸として、「患者さんのことを考えすぎて、スタッフが疲弊しないようにする」という考えがあります。つまり、より良い医療を継続的に提供するためにもスタッフが万全の状態でいることが重要だということです。スタッフの働き方もかなり意識しています。
数年前までは、私やスタッフが夜間の急患対応をしていましたが、今では夜間に獣医師に相談できる電話動物病院サービスや近くの24時間営業している病院を紹介してくれるサービスを導入したおかげで、24時間勤務は無くなりました。
それから、セミナー手当てを福利厚生として取り入れています。私自身、勉強のために様々なセミナーに参加してきました。知識も豊富になり、最新の技術も学べたので社員にもぜひセミナーに参加して自分自身の医療技術の向上に努めてほしいと思います。
地域への貢献活動
令和4年度、柏商工会青年部の会長に就任
地域への貢献として柏商工会議所青年部の会長として活動しています。柏の町を盛り上げるためにイベントを開いたり、経営者同士の交流を深めるような勉強会を開いています。例えば、柏市の高校生に組織経営を教えたり、柏市役所に対して町をよりよくするためにどうしたらいいのかを提言しています。やはり地元である柏市には愛着があるので、恩返しの意味も込めてこれからも地域に貢献できるよう活動していきたいと思います。